2014年7月30日水曜日

[歌詞] [映像] Rocket Brothers (Kashmir / 2004)

Kashmir (1991- )

今日の一曲は、デンマーク出身のバンド、カシミールの作品。PVの出来がよいので、まずはゆっくりと全画面にして鑑賞してほしい。

I miss you so much boy
will we be coming on again
don't ever loose your ropes
this man is hanging by the ends
きみがいなくてとても寂しいよ
またいつかあえるよね?
きみのロープを手放さないでほしい
ぼくはその端にぶら下がっているから

「ぼく」から「きみ」へのラブソングだが、タイトルにあるようにこれは兄弟愛のお話。異性愛ではない。弟から兄へか?"boy"は呼びかけだから、特に訳さない。

I owe you so much time
yes you might say it isn't like that at all
but now it's coming back to you
these open moments that I blew
長い間きみの世話になった
きみは「そんなことはない」と言うだろうけど
でも、いまになってきみに恩を返すことができる
ぼくが台無しにした開かれたチャンスを

"open moments"は「開かれた(閉じられていない)好機」だろうか。おそらく、いまままで「ぼく」には「きみ」がくれた機会が沢山あったのだけれど、どれも無駄にしてしまった。その親切に対して報いたいということだろう。

rocket brothers crack and burst
if they can't meet upon the verge
of breaking into seperate parts
that was not written in our cards
now you got someone to protect
someone you cannot reject
ロケットブラザーズはひび割れて、破裂してしまう
もしばらばらに壊れてしまう瀬戸際で結びつけないのならば
そんな風になるとは思ってなかった
きみは守るべき人がいる
拒めないひとが

ここでは、兄と弟のことが第三者の視点から語られる。「きみがいなくて寂しい」と語る「ぼく」だが、二人がそろえば一触即発なのだ。"that was not written in our cards"の"cards"はトランプ(占い)のことを指す。"in[on] the cards"で「ありそうで、起こりそうで」を意味している。つまり、「トランプ占いではそういう結果ではなかった」→「そんな風になるとは思わなかった」となる。

そして今では、「きみ」には守るべき人がいる。それは「ぼくら」が大人になったことを、つまり少年ではなくなったことを意味している。

I miss you so much boy
but I was buried in the mines
I found it hard to stop
you found me very hard to find
きみがいなくて寂しい
でもぼくは鉱山(地雷)に埋められていた
ぼくにはやめるのが難しいことはわかっていた
きみにはぼくを見つけ出すことはとても難しかった

"mines"は鉱山、あるいは地雷のことだ。鉱山だとすれば、「ぼく」は比喩的に鉱物(ダイヤモンド、金、銀、鉄……)なのだろうし、地雷ならば、「ぼく」を見つけ出す道のりには沢山の罠が仕掛けられているということだろう。どちらにしろ、意味は通る。「やめることは難しい」と語るように、望んでいなくてもそうせざるをえない状況にある「ぼく」を「きみ」は見つけ出そうとする。

but now that you've made way
I'd better tie together these ropes again
and throw the times right back to you
and all the chances that I blew
でもいまきみは成功した
ぼくは再びこのロープを硬く結ぶべきだろう
そして時間をきみにかえすべきだろう
ぼくがだめにした好機すべてを

ふたたび巡り会えたロケットブラザーズ。そして二人は誓う、もう二度とバラバラにはならないと。

rocket brothers crack and burst
if they can't meet upon the verge
of breaking into seperate parts
that was not written in our cards
ロケットブラザーズはひび割れて、破裂してしまう
もしばらばらに壊れてしまう瀬戸際で結びつかないならば
こんなことになるとは思っていなかった

しかし、結局は同じことの繰り返し。離れれば寂しいけれど、出会えばイライラがつのり、爆発してしまう。出会う前は仲直りを決意し、もう二度と喧嘩をしないと決めていても、元の木阿弥。

those rocket brothers on the verge
we should be careful' cause it could burst
and we're not lonely anymore
lonely as we were before
and now there is someone to protect
someone you cannot reject
something I will not neglect
瀬戸際のロケットブラザーズ
爆発してしまいそうだから慎重にならなくては
ぼくらはもはや孤独ではない
以前のように孤独ではない
いまは守るべき人がいる
きみには拒めないだれかが
ぼくには無視できない何かが

上にも書きましたが、まず特筆すべきはPVの出来の良さ。かわいらしいアニメーションでありながら、歌詞と呼応するしっかりとしたストーリー展開は素晴らしいですね。歌詞が分からなくても、グッとくるものがあるはず。

Kashimir自体は、日本で対してブレイクできないまま売り時を逃した感がありますが、この曲はとてもいいですよね。強いて言うなら、繊細な高音ヴォーカルとアルペジオのバッキングがレディオヘッドの"Let Down"を彷彿とさせます。

アダムを死へと導くカイン
歌詞の内容は普遍的な兄弟関係とでもいうか、よくある話かと。個人的には旧約聖書の「カインとアベル」を想像しました。人類の始祖アダムとエヴァの息子であった、長男カインと次男アベル。二人は神へ収穫の捧げものをするが、神はアベルの捧げもののみに注視し、カインのものは無視する。嫉妬にかられたカインは、アベルを野に誘い、殺害する。人類最初の殺人者となったカインは、二度と消えない刻印を受けエデンの東へ追放される……

PVのほうがこの神話を反復しているような印象をうけます。家族の間柄は離れていれば懐かしい、恋しい、寂しいものですが、常に一緒にいられるかといったら別問題です。このへんの距離感が大切だということは、ここでもここでも話しましたが、結局両者が適切な距離感––––遠い方にあわせなければいけない––––を把握できていないと悲劇なのです。そして、年を取れば自然と離れていく––––あたらしく家庭をきづく––––ものだろうし、丸くなっていくものなのだろう。


期間限定版、曲数が多い
2004年のものが未だに売れ残っているのが悲しい
通常版、14曲入り
輸入版
国内版とジャケットが違うのだけれど、
このジャケの方が雰囲気あっていいと思う
こちらも輸入版
上記との違いは不明
Amazonしっかり整理しろ!

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