2012年8月18日土曜日

[歌詞] Flower (Liz Phair / 1993)


Everytime I see your face
I get all wet between my legs.
Everytime you pass me by
I heave a sigh of pain.
あなたの顔をみるたびに
私の股の間はびしょびしょになる
あなたが通り過ぎるたびに
私は胸の痛みでため息がでる

Everytime I see your face
I think of things unpure, unchaste.
I want to fuck you like a dog,
I'll take you home and make you like it.
あなたの顔をみるたびに
不純でみだらな事を考えてしまう
犬のようにあなたを犯したい
あなたを家に連れ帰って、その気にさせてあげたい

Everything you ever wanted,
Everything you ever thought of, is
Everything I'll do to you,
I'll fuck you and your minions, too.
あなたが望むことならなんでも
あなたが思いつく限り
すべてしてあげるわ
あなたとファックしてあなたの子分ともしてあげるわ

Your face reminds me of a flower
Kind of like you're underwater:
Hair's too long and in your eyes
Your dick's a perfect "suck me" size.
あなたの顔をみるとある花を思い出すの
まるであなたは水の下にいるみたいに
長過ぎる髪が眼に入って
あなたのペニスは完璧に「吸いやすい」大きさ

You act like you're fourteen years old.
Everything you say is so
Obnoxious, funny, true and mean.
I want to be your blowjob queen.
あなたは14歳みたいに振る舞う
あなたが言った事すべては
とても不快で、おもしろくて、本当で、イジワルで
私はあなたのフェラチオクイーンになりたい

You're probably shy and introspective;
That's not part of my objective.
I just want your fresh, young jimmy
Jamming, slamming, ramming in me.
あなたは多分シャイで内省的
でも私はそれが気にいっているわけじゃなくて
単にあなたの未熟な若いジミーを求めているの
私に押し付けて、叩き付けて、ぶつかってくる

Everytime I see your face
I think of things not pure and chaste.
I want to fuck you like a dog,
I'll take you home and make you like it.
あなたの顔をみるたびに
不純でみだらな事を考えてしまう
犬のようにあなたを犯したい
あなたを家に連れ帰って、その気にさせてあげたい


Everything you ever wanted,
Everything you ever thought of, is
Everything I'll do to you,
I'll fuck you till your dick is blue.
あなたが望む事ならなんでも
あなたが思いつく限り
すべてしてあげるわ
あなたのペニスが真っ青になるまでファックしてあげる


Liz Phair (1967- )
オルタナクイーンと称されたLiz Phair(リズ・フェアー)の1曲。ローファイな音作りと過激で赤裸々な歌詞がマッチし、独特の表情を持つ曲です。同時代のアーティストにアラニス・モリセットがいますが、彼女も過激な歌詞で認知されましたし、この時代の音楽界における女性解放の流れを感じさせます。

そんなリズの曲の中でも、その過激な表現で名高いのがこの曲です。かわいらしい曲調とは裏腹に、セックスの生々しい表現が歌われます。

"I want to be your blowjob queen.”
「あなたのフェラチオクイーンになりたい」

いまで言うところの、肉食系女子ですかね。しかしどんな清楚な女性であろうと、恋愛関係や夫婦関係における性行為は必然である—そもそも清楚という概念が男性の勝手な妄想—ことを考えれば、極めてストレートな愛情表現であると言えます。「性」にまつわるあれこれが、公の場ではタブーできわめて私的な、そして隠されたものであるという文化的習慣がこの曲の歌詞にインパクトを与えています。

タイトルの "Flower" は歌詞の一節からとられているようですが、このヴァースは他のヴァースと違ってちょっと謎めいています。

”Your face reminds me of a flower
Kind of like you're underwater:
Hair's too long and in your eyes
Your dick's a perfect "suck me" size."
「あなたの顔をみるとある花を思い出すの
まるであなたは水の下にいるみたいに
長過ぎる髪が眼に入って
あなたのペニスは完璧に「吸いやすい」大きさ」


「水の下に〜」以降はフェラチオをしている描写だとわかるのですが、「あなたの顔をみるとある花を思い出すの」は謎です。単に韻を踏んだだけとみるか、タイトルにしているぐらいなのだから、なにか隠れた意味があるとみるか。栗の花ですかね…匂いだけ考えれば。

"I just want your fresh, young jimmy"
「あなたの未熟な若いジミーが欲しい」

"Jimmy" は人の名前であると同時に、バールを意味します。つまり若いジミーは、そう若さ故に硬いアレです。余談ですが、男性は年を重ねるごとに硬さも、角度も落ちていきます。ちまたで流布している説によれば、手のひらを縦に広げて、親指から小指までが10代ごとの角度といわれています。

しょうもないトリビアで締めですが、この楽曲が収録されたアルバム "Exile in Guyville "はストーンズの "Exile on Main Street " の1曲1曲への応答として作られているちょっと変わったアルバムです。未聴の方はぜひ。
(2014/07/01動画リンク変更、訳の一部を修正)


           

2012年8月13日月曜日

[歌詞][映像] J'en ai marre! (Alizée)


J'ai la peau douce
Dans mon bain de mousse
Je m'éclabousse
J'en ris !
Mon poisson rouge
Dans mon bain de mousse
Je l'emmitoufle
Je lui dis :


泡のお風呂のなかで私のツヤツヤの肌に
水しぶきをかけるの
ウフフ
泡のお風呂のなかで私の金魚を
暖かく包みこむの
そして話しかけるの

J'ai pas de problème
Je fainéante
Pas de malaise
Je fainéante
Dans l'eau je baigne
C'est l'important
Bien à mon aise dans l'air du temps


「悩み事なんてないわ
ただ怠けているだけ
不安なんてないの
怠けているだけ
お湯に浸かっていたいだけなの

この時間を楽しんでいるの」

J'ai la peau douce
Dans mon bain de mousse
Je brûle à l'ombre
Des bombes
Tout est délice
Des lits des cibles
Je fais la liste des choses
Qui m'indisposent


泡のお風呂で私のツヤツヤな肌は

バスボムの下でヒリヒリするの
タブロイドの男女関係は蜜の味
私を不愉快にさせる事のリストをつくるわ

J'en ai marre de ceux qui pleurent
Qui ne roule qu'à 2 à l'heure
Qui se lamentent et qui s' fixent
Sur l'idée d'une idée fixe


泣き出す男にはうんざり
時速2kmもだせない人々
思い込んで嘆いてばかりで動かない人々

J'en ai marre de ceux qui râlent
Des extrémistes à 2 balles
Qui voient la vie tout en noire
Qui m'expédient dans l' cafard


文句を言う男にはうんざり
二個の弾丸の上の過激主義者たち
真っ暗な人生を生きている人たち
ふさぎ込んで私を追い払おうとする人たち

J'en ai marre de la grande soeur
Qui gémit tout et qui pleure
Marre de la pluie, des courgettes
Qui m' font vomir sous la couette


泣いてばかりいるお姉さんにはうんざり
雨のような涙にもうんざり
*バカにもうんざり
羽布団の上にゲロを吐かさせる人にもうんざり

J'en ai marre de ces cyniques
Et dans les prés les colchiques
J'en ai marre d'en avoir marre
Aussi...


ひねくれ者にもうんざり

**イヌサフランの近くもうんざり
うんざりなのにもうんざり…

J'ai la peau douce
Dans mon bain de mousse
Pas de secousses sismiques
Je me prélasse
Et me délasse
C'est mon état aquatique
Y'a comme un hic!


泡のお風呂のなかでツヤツヤの肌
地震で揺れたりはしないわ
くつろいでいるの
リラックスしているの
私の水生環境
それにはちょっとコツがいるのよ(・ω≦)


*courgettes: ズッキーニだが、おそらくcouetteと韻を踏むためにcourge: カボチャ(俗語:バカ)の代用としている
**イヌサフランには毒がある。



Alizée (1984- )
フランスのアイドルAlizée(アリゼ)のヒット曲 "J'en ai marre!" です。初めてこのPVをMTVで観たとき、かっこいい曲だなー映像は意味わからないし、歌詞もわからないけど、ぐらいに思っていました。しかし、きちんと訳してみるとかわいいティーンエイジャーの女の子が歌っているのに、一筋縄ではいかない歌詞でした。

歌詞はおもに、泡風呂につかっている事と、うんざりする事について書き連ねてあるわけですが、隠喩がちりばめられていて、そこかしこにエロチックな響きが隠れています。

"Mon poisson rouge dans mon bain de mousse. Je l'emmitoufle."
 「泡のお風呂のなかで私の金魚を暖かく包みこむの」


泡風呂の中の金魚は金魚ではありません。いや、だって石鹸水のなかで生きられるわけがないし、そもそもお湯の中では死んじゃうし。ここでの金魚は女性の体の一部分を指しています。まあ、明言されているわけではないので、どこととろうと自由なのですが、おそらく赤くなっている部分でしょうね。金魚だし。

"Je brûle à l'ombre des bombes"
「バスボムの下でひりひりするの 」

バスボムは入浴剤です。普通、入浴剤程度では(敏感肌でもなければ)痛みを感じる人はいませんが、金魚をいじりすぎたためにひりひりしているようです。

ここまで書けばわかると思いますが、これは女性が風呂でオナニーに耽っている詩です。クリトリスを金魚に例えるのは言い得て妙で、古代世界では女神のシンボルは魚である事が多いのです。(おそらくその匂いに起因するとおもわれますが…)魚と女神のシンボリズムについてはこちらのサイトからどうぞ。 

歌詞に戻ると、3ヴァースもお風呂で一人遊びをする事の素晴らしさを歌ってから、世の中への不満をぶちまけていきます。ここでもちらほらとダブルミーニングのフレーズがでてきていて、例えば

"... des extrémistes à 2 balles"
二個の弾丸の上の過激主義者たち」

などは、2発の弾丸を放った過激主義者=9.11同時多発テロともよめれば、もっと下世話にペニスの隠喩とも読める訳です。睾丸はある種の弾薬庫ですから。ええ。

ここまで読んでみて不思議に思いませんか?あきらかにミュージックビデオと歌詞の内容があってませんよね。あのビデオだと、ちょっとクールなひねた女の子を演じているのに歌詞はひたすらエロいわけです。もともとアリゼはシングル "Moi... Lolita" でデビューしたころから、ロリータ(男性を誘惑する少女)のイメージで売ろうとしていたわけで、それを考えるとなおさら不思議です。プロデュースの方向性でもめたのか?ですが、テレビ出演ともなれば、それこそキャリアの最高潮とも言えるエロさです。さすがにジャージを着てボールを投げる演出はしなかった。それにしても誰がこのコスチューム考えたんだろうね。








さて、長い文章をここまで読んでくれた皆様。フランスのファンサイトなどを巡って、高画質版を集めてきたので、よろしければ下記からダウンロードしてください。低画質にはうんざり、ウフフ。(2013/1/6再UP)

2012年7月25日水曜日

[歌詞] Shiver (Coldplay)





So I look in your direction
But you pay me no attention, do you
I know you don't listen to me
'Cause you say you see straight through me, don't you


ぼくが君の方を向いても
君はぼくに気づいてくれない
君がぼくの話を聞いていないのはわかってる
だって君がぼくを無視するってはっきり言うから

And on and on from the moment I wake
To the moment I sleep
I'll be there by your side
Just you try and stop me
I'll be waiting in line
Just to see if you can


そして僕が目覚めてから眠るまでのあいだずっと
ぼくは君のそばにいるよ
止められるものなら止めてみろよ
君ができるかどうかみていてあげるから

Did you want me to change
Well I change for good
And I want you to know
But you always get your way
I wanted to say


君はぼくに変わってほしかったのかい
それなら永遠に変わってしまおう
そして君に気づいてほしいんだ
でも君はいつだって意見を曲げない
ぼくはこう言いたかったんだ

Don't you shiver, shiver, shiver
I'll always be waiting for you

背筋がぞくぞくしてくるだろう
ぼくはいつだって君を待ち続ける

So you know how much I need you
But you never even see me, do you
And this is my final chance of getting you


ぼくがどれくらい君を必要としているかわかっているだろ
でも君はぼくを絶対にみようとはしない
これが君を手に入れる最後のチャンスなんだ

And on and on from the moment I wake
To the moment I sleep
I'll be there by your side
Just you try and stop me
I'll be waiting in line
Just to see if you care



そして僕が目覚めてから眠るまでのあいだずっと
ぼくは君のそばにいるよ
止められるものなら止めてみろよ
君がどうするかみていてあげるから

Did you want me to change
Well I change for good
And I want you to know
But you always get your way
I wanted to say


君はぼくに変わってほしかったのかい
それなら永遠に変わってしまおう
そして君に気づいてほしいんだ
でも君はいつだって意見を曲げない
ぼくはこう言いたかったんだ

Don't you shiver
Don't you shiver

背筋がぞくぞくしてくるだろう
背筋がぞくぞくしてくるだろう

Sing it loud and clear
I'll always be waiting for you
Yeah I'll always be waiting for you
Yeah I'll always be waiting for you
Yeah I'll always be waiting for you
For you I will always be waiting


大声ではっきりと歌ってやるよ
ぼくは君を待ち続けているから
そう、ぼくは君を待ち続ける
そう、ぼくは君を待ち続ける
そう、ぼくは君を待ち続ける
君を、ぼくは待ち続けるから

And it's you I see, but you don't see me
And it's you I hear, so loud and clear
I sing it loud and clear
And I'll always be waiting for you


ぼくがみているのは君だけど
君がみているのはぼくじゃない
ぼくがはっきりと大きな音で聞くのは君の声
ぼくはそれを大声ではっきりと歌い上げる
そして君を待ち続ける

So I look in your direction
But you pay me no attention
And you know how much I need you
But you never even see me


ぼくが君の方を向いても
君はぼくに気付こうとはしない
ぼくがどれくらい君を必要としているかわかっているだろ
でも君はぼくを絶対にみようとはしない

Coldplay (1997- )
コールドプレイ(Coldplay)の初期のヒットナンバーです。5:00きっかりで歌詞も繰り返しが多いのに、不思議と飽きさせない魅力的な曲だとおもいます。ですが、歌詞をきちんと読んだとき、衝撃的でした。

それは、この曲はどう考えてもストーカーの視点から描かれているからです。特に歌詞を気にしない人であれば、ごくごく普通の報われない愛(unrequired love)の歌と捉えるかもしれませんが、歌詞の隅々ににじみ出ている言葉の端々には狂気がやどっています。

 「ぼくが君の方を向いても
君はぼくに気づいてくれない
君がぼくの話を聞いていないのはわかってる
だって君がぼくを無視するってはっきり言うから」

この時点ではっきりと、「君がぼくを無視するってはっきり言うから」(you say you see straight through me, don't you)と歌っているように、一方的にふられている、あるいは復縁を拒絶されています。

「そして僕が目覚めてから眠るまでのあいだずっと
ぼくは君のそばにいるよ
止められるものなら止めてみろよ
君ができるかどうかみていてあげるから」

つぎの歌詞はそれを受けての男の行動です。恋人でもない男に「目覚めてから眠るまでの間」一緒にいられるなんて、単なる悪夢でしかありません。もっとも、このフレーズが「彼女を思い続ける」の比喩表現だと捉える事も可能でしょう。

君はぼくに変わってほしかったのかい
それなら永遠に変わってしまおう
そして君に気づいてほしいんだ
でも君はいつだって意見を曲げない
ぼくはこう言いたかったんだ」

君の求める男になるから、気づいてほしい。意見を曲げて、僕を受け入れてほしい。ふむふむ。そして彼の言いたかったことは…

「背筋がぞくぞくしてくるだろう」


キャー。そりゃぞくぞくするよ。ドキドキじゃなくてゾクゾクだよ。それ、相手の女の子は絶対困ってるから。なんて一方的な愛の形。しかもそれを「大声ではっきりと歌う」(sing it loud and clear)ってもはや嫌がらせレベルじゃなくて、犯罪だから。通報されるよ?

そんな風に思ってしまったのだけれど、songmeaningsをみると、ストーカーっぽい(stalker-ish)とのコメントもあるものの、おおむね報われない純愛の歌として捉えている人が多い事にびっくり。感性の違いか…



2012年7月21日土曜日

[歌詞] Some Girls Are Bigger than Others (The Smiths)




From the ice-age to the dole-age 
There is but one concern 
I have just discovered :

氷河期から「失業手当」時代にいたるまで
少なくともひとつの関心事があることに
ぼくは気づいてしまった

Some girls are bigger than others 
Some girls are bigger than others 
Some girls' mothers are bigger than other girls' mothers

ある女の子たちは他の女の子よりも大きい
ある女の子たちは他の女の子よりも大きい
ある女の子たちの母親たちは他の女の子の母親たちよりも大きい

As Anthony said to Cleopatra 
As he opened a crate of ale : 

アントニオがエールの木箱を開けながら
クレオパトラに語ったように

Oh, I say : 
Some girls are bigger than others 
Some girls are bigger than others 
Some girls' mothers are bigger than other girls' mothers

ある女の子たちは他の女の子よりも大きい
ある女の子たちは他の女の子よりも大きい
ある女の子たちの母親たちは他の女の子の母親たちよりも大きい


Send me the pillow ... 
The one that you dream on ... 
Send me the pillow ... 
The one that you dream on ... 
And I'll send you mine

君が夢をみる枕を贈ってほしい
君が夢をみる枕を贈ってほしい
ぼくも君に枕を贈るから

The Smiths (1982-1987)
80年代に活躍したイギリスのバンド、ザ・スミス。オアシスのノエル・ギャラガー等その後のミュージシャンに多大な影響を与えたことでも有名です。そんな彼らが1986年発表に発表した3枚目のアルバム"The Queen is Dead"の最後を飾る曲がこの奇妙な"Some Girls are Bigger than Others"という曲です。

当時のイギリスはサッチャー政権下での急進的な経済改革により、300万人にも及ぶ大量の失業者が発生した時代だった。1986年はその頂点とも言える年であり、その時代背景が"the dole-age"「失業手当の時代」という言葉にあらわれています。

繰り返されるサビはきわめてシンプルでありながら、なにを言いたいのかわかりません。「ある女の子は他の女の子よりも大きい」。いったい何が?

英ウィキペディアによれば"As Anthony...ale."のくだりは、1964年公開のコメディ"Carry on Cleo"からの引用らしいのですが、映画をみてみてもそんな場面はありません。ザ・スミスのバイオグラフィー"Songs That Saved Your Life"に記載されているらしいのですが、どなたか読まれたら教えてください。


モリッシーは何に気づいたのでしょうか?それは過去から現在にいたるまで、「ある関心事」=「女の子の中には大きい子と小さい子がいる」という事実です。ここまで書くとニヤリとする人がいるかもしれません。男性が男性同士で女性の事を話題にするとき、たいしたボキャブラリーは使われません。

4コマ目:
「男性は必ず見つめるものよ…
大きくても小さくても」
「顔」「胸」「尻」この3つが男性が女性を話題にするときに、あるいは異性として意識するときに注視する箇所です。女性ならばさしずめ「顔」「金」「性格」でしょうか。基本的には男性はその幼少期から老年にいたるまで、興味の対象はほぼ変化しません。おそらく大きさうんぬんなら、まちがいなく「おっぱい」です。

人間は酔っぱらうとつい正直に、何のてらいもなく話してしまいがちです。ロミオとジュリエットと並ぶ名カップルである、アントニオとクレオパトラでさえ、エール(ビールの一種)で酔っぱらうと、いくらロマンチストを気取ろうと、正直な言葉が出てしまうということでしょう。

女性をきわめて即物的に、おっぱいの大小だけでとらえる。その醒めた視線と、「アントニオとクレオパトラ」というロマンスの象徴の対比がこの曲を非常に印象深いものにしてくれます。

もっとも、女性のリスナーやロマンチストはこの解釈に反対するかもしれません。事実、Songmeaningsでは「なに」が大きいのかについて喧々囂々の論争となっています。しかし、「体型」や「情熱」「社会的地位」などでは、まったくユーモアが足りません。

実はライブでは、さらに歌詞が足されています。

On the shopfloor
There's a calendar
As obvious as snow...
As if we didn't know
作業場にかけてあるカレンダー
雪のように明らかで
まるでぼくらが気づいていないかのように

大小
男たちが働く作業場には、たいていビキニのおねーちゃんのカレンダーがかけてあるものです。カレンダーの写真はきわめて即物的に女性を写し取ります。カレンダーをみれば一目瞭然なわけです。ロマンティックなヴァースに対する「女はおっぱい」と言う身も蓋もないサビこそが、この曲の醍醐味なのです。余談ですが、スペイン語のmamáは乳房を意味します。

そしてこの曲は、突然過度にロマンティックな歌詞で終わりを迎えます。実はこの部分は60年代に活躍したアメリカの歌手"Johnny Tillotson"の"Send Me the Pillow You Dream on"の引用です。あれだけ醒めたサビを繰り返しながら、最後には甘ったるく曲をしめるモリッシー。一筋縄ではいかないところが魅力です。