2010年3月16日火曜日

[歌詞] Perfect Day (Lou Reed)


Just a perfect day
Drink Sangria in the park
And then later, when it gets dark
We go home

まったく完璧なある日
公園でサングリアを飲んで
そのあと、暗くなったら
ぼくらは家路につく

Just a perfect day
Feed animals in the zoo
Then later, a movie, too
And then home

まったく完璧なある日
動物園でエサをあげて
それから、映画もみて
家に帰る

Oh it's such a perfect day
I'm glad I spent it with you
Oh such a perfect day
You just keep me hanging on
You just keep me hanging on

そんな完璧な日
君と過ごせてうれしいよ
そんな完璧な日
君のおかげでやっていける
君のおかげでやっていける

Just a perfect day
Problems all left alone
Weekenders on our own
It's such fun

まったく完璧な日
いやな事は忘れて
二人だけの週末旅行
なんて素晴らしいんだろう

Just a perfect day
You made me forget myself
I thought I was someone else
Someone good
 
まったく完璧な日
君は僕自身を忘れさせてくれた
僕がだれか別の人間、
もっとましな人間だったらいいのに
 
Oh it's such a perfect day
I'm glad I spent it with you
Oh such a perfect day
You just keep me hanging on
You just keep me hanging on

そんな完璧な日
君と過ごせてうれしいよ
そんな完璧な日
君のおかげでやっていける
君のおかげでやっていける

You're going to reap just what you sow
You're going to reap just what you sow
You're going to reap just what you sow
   You're going to reap just what you sow...
君は報いをうけるよ
君は報いをうけるよ
君は報いをうけるよ…

Lou Reed (1942- )
映画『トレインスポッティング』で使用されていることで有名な"Perfect Day"ですが、こうやって訳してみると、曲調とは裏腹に悲惨な終わり方をしてますね……もっとも、曲調自体もどこか郷愁をさそうような物悲しいものなのですが。前置きはこれぐらいにして、歌詞を見ていきましょう。

まず1,2ヴァースは穏やかな日曜の午後を描写したような表現が続いていきます。公園でサングリア(赤ワインを薄めて甘くしたもの)飲んで、動物園にいって、映画を見て、暗くなったら家に帰って……極めて健全なカップルあるいは家族の姿です。ここでの人称は"we"だけなので、詳しい関係は不明です。そしてサビの第3ヴァースでは「君」がいるおかげで生きていけるんだ、と繰り返し強調されています。

さて、具体的な表現が使われた1,2ヴァースとは異なり、4,5ヴァースは抽象的な表現が用いられています。そして、内容も幸せな姿から徐々に翳りが見えるようになっていくのです。特に、「ぼくがだれか別の人間、もっとましな人間だったらいいのに」という自己嫌悪が生まれてきます。そして再びサビの第6ヴァースで「君」の重要性が強調されます。

しかし最後のヴァースでは「君は報いをうける」と暗い予言がなされます。

普通に考えれば、主人公は過去の恋人を思い出してノスタルジックな感覚に浸っている。そして自分を捨てた恋人に対して、恨みがましいことを言っている、という解釈が成り立ちます。それで恐らく正解なのですが、ビートルズ以後の洋楽の伝統として、歌詞は常にドラッグとの結びつきが暗示されていることを考えると、これもドラッグ中毒の歌として捉えることもできるようになっています。songmeaningsでもこれがヘロインについてなのかどうかが議論の的となっていますが、ルー・リード自身の私生活を考えれば何らかの薬物中毒に関する歌でもあるんだろうなぁという印象ですね。それにトレイン・スポッティングがヘロイン中毒患者の話だったことも、曲の印象にあたえた影響があるとおもいます。


10 件のコメント:

  1. はじめましてjmcmyです

    Louが亡くなりました

    改めて、Louの書いた曲名を手当たり次第に検索していたら、このサイトに辿り着きました
    パーフェクトデーの最後の歌詞の意味がずっとわかりませんでした

    何か聖書の記述だとも聞いたことがあります
    「報い」ですかぁ
    何かストンと腑に落ちたように思います

    ありがとうございました

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  2. Rockn' roll animal を聞きながら、歌詞を探していたら私もこのサイトに行きあたりました。
    London にいた時、もう35年も前ですが、Lou のコンサートに行きました。
    Lou が死んだなんて信じられないです。Lou Reed でも死ぬんだ。みたいな感じです。
    70年代の私の神々がこの世を去っていく。
    Lou Reed をリアルタイムで生きてこられて良かった。

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  3. jmcmyです

    Perfect Dayの歌詞で私が勝手に間違えていたのは
    You're going to reap just what you sow の部分です

    英語もできないのに、曲を聴いただけで「sow」を「saw」だとずっと思っていました
    発音は違うのでしょうが

    見たものを刈り取るってどんな意味だろう
    と思い続けていました
    Sow だったのですね

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  4. 素晴らしいお仕事ありがとう

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  5. この30年歌うことがなく、最近急に歌いたくなりました。それで歌いたい歌を探しているうちにこの歌を思い出しここに流れつきました。解説してくれた人もコメントを寄せた人も皆この歌が好きなことが伝わり、親近感を覚えます。ただ最後の歌詞の解釈は十分ではないと思います。それまでの君への
    感謝の言葉から急に「君は報いを受けるよ」ではつながりがわからないでしょう?ここのyouは「君」の意味ではなくoneに近い一般的な「人は」を意味する用法だと思います。
     歌の流れはこうだと思います。主人公はもう後戻りできないほど人の道を踏み外している。僕らからすればごくありきたりの1日がありえない夢のような素晴らしいことに感じられるくらい。その主人公がyouのおかげでそういう1日を過ごすことができた。このような日を過ごしていると救いようのない自分がまるで「まともな人間」であるかのような錯覚に陥る。でもそうじゃない、自分にはこの瞬間はつかの間の夢であり、望むべくもないもの。人は
    自分の犯した罪からは逃れられない、自分のしたことの報いは受けなくてはならない。それだけにこのつかの間の幸せをありがとうと君に感謝する。
    こういう心境だから限りなく優しく、そしてこんなにも悲しい響きがある歌なのだと。ですからこの文脈では最後のyou は 「人は...」で、要するに自分のことだと思います。 

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  6. ↑同意です。

    全体の流れからも、この最後のyouは特定の人を指すときのyouではないように取れます。

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  7. you just keep me hanging on
    これはラブソングでお決まりのセリフで、
    「あなたは私を宙ぶらりんにしている」
    つまり、気を持たせたまま態度をハッキリさせないという意味です。
    1960年代にシュープリームスがこのままの曲名で大ヒットを飛ばして以来、
    数々のミュージシャンがカバーを出しています。
    これで歌の意味がスッキリするのではないでしょうか?

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    1. なるほど。ラブソングなんでしょうね。
      とりようによっては最後の歌詞
      You're going to reap just what you sow...
      がめっちゃ怖いですね。直接行動に出られたら...。
      おそらく、「罪作りな女(男)やで...」って一種の諦めのような、
      寂しさのような感じを表現してるのかなと思います。。
       
      本人(ルー・リード)はドラッグソングを否定してるそうです。

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  8. 若い頃、中野サンプラザのルーリードのライブに行きました。ずっとラブソングだと思っていたら‥ドラックの曲だったんですね‥納得!

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  9. 勝手な解釈ですが。
    "You made me forget myself"
    と、この完璧な日以外は忘れたいほどの日々送っているでしょうし、
    "I thought I was someone else Someone good"
    ともあるので、自分はどうしようもない人間だという不甲斐なさを詩上の私は感じていて、そこに、
    "You're going to reap just what you sow"
    なので、こんな私に種を播いてもしれてるぜ、後悔するぜ、報いを受けるぜって反語的な解釈も可能なのかなと。
    二人で過ごす時間はたしかに「完璧な日」に違いないが、その先は二人にとってなにかもっといいことはあるの? と節々から感じ取れると思います。
    そもそも"perfect"とか「完璧」という語には、これ以上無い、という諦めが大いに含まれた特殊な語です。
    造形物の創作時にはよく「概成」という語を使用しますが、これはまだまだやれる余地はあるという気概の現れだったりするので、その反対の「完璧」には「これで終わり」という意味を含めていると勝手に解釈しています。

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