2014年7月20日日曜日

[歌詞] Stinkfist (Tool / 1996)


Something has to change.
Undeniable dilemma.
Boredom's not a burden
anyone should bear.
なにかが変わらなければいけない。
まさにジレンマ
退屈は誰もが我慢しなければいけない
人生の重荷ではない


Constant over stimulation numbs me
but I would not want  you any other way.
定期的な刺激がおれを麻痺させる
だが、おれはおまえを他のやり方で求めたりはしない


Cause,
Not enough.
I need more.
Nothing seems to satisfy.
I said,
I don't want it.
I just need it.
To breathe, to feel, to know I'm alive.
それは
満足できないから
おれはもっと必要なんだ
何も満足させてくれない
言っただろ
それが欲しいわけじゃない
ただ必要なだけだ
呼吸し、感じ、生きていることを実感するために

適応、順応、退屈、倦怠。どんなものも始めは刺激的でも慣れていくにつれて、飽きてくるものと言える。食べ物でもいいし、音楽でもいい、住む場所でも恋愛関係でも同じだ。冒頭の3つのヴァースはその倦怠からの突破を求めている。「なにかが変わらなければいけない」。それはおまえからの「定期的な刺激」によって引き起こされる。変化を「求めている」のではなく、それは差し迫った「必要」からなのだ。

Finger deep within the borderline.
Show me that you love me and that we belong together.
Relax, turn around and take my hand.
指が境界の内側深くに入り込む
おまえの愛情をみせてくれ、おれたちの間柄を証明してくれ
リラックスして反対向きになったら、おれの手をとれ

コーラスのここが歌詞の最重要かつ最も具体的な部分。一文目は冠詞と動詞を外してあるため、少し抽象的な印象を受けるが、この指は「おれ」の指である。

I can help you change tired moments into pleasure.
Say the word and we'll be well upon our way.
おまえが倦怠の時を至福へと変える手助けをしてやろう
あの言葉を言えよ、そうすればすぐに始められる


Blend and balance
Pain and comfort
Deep within you
Till you will not want me any other way.
調和と均衡
痛みと安楽
おまえの奥深く
おまえがこれ以外ではおれを求めなくなるまで


But,
Not enough.
I need more.
Nothing seems to satisfy.
I said,
I don't want it.
I just need it.
To breathe, to feel, to know I'm alive.
だが、
十分じゃない
おれにはもっと必要だ
なにものもおれを満たせない
言ったはずだ
おれは欲しいのではない
必要なんだ
呼吸し、感じ、生を感じるために

「お前の奥深く」で倦怠を打ち破ったはずが、まだ満足できないと叫ぶメイナード。途中で話者が交代していることにも注目。単なるBメロの繰り返しではなく、きちんと歌詞の構成に適合しているのが見事。

Knuckle deep inside the borderline.
This may hurt a little but it's something you'll get used to.
Relax. Slip away.
指の付根が境界の奥深くまではまる
少し痛いかもしれないけど、すぐに慣れる
リラックスして。ゆっくり入れるんだ。

さきほどは「指」だった部分が、「指の付根」まで入っている。さらに深く。

Something kinda sad about
the way that things have come to be
desensitized to everything.
What became of subtlety?
何に対しても鈍くなったのは悲しいことだ
なにが薄れたんだ?

How can this mean anything to me
If I really don't feel a thing at all?
おれがもはや何も感じないのなら
これはおれにとって意味があるのか

そうして得たより強い刺激にも、いつかは慣れてしまい、同じように退屈が訪れる。そして「行為」の意味を問うのだ。

I’ll keep digging ‘till
I feel something.
おれが何かを感じられるまで
おれは掘りつづける

Elbow deep inside the borderline.
Show me that you love me and that we belong together.
Shoulder deep within the borderline.
Relax. Turn around and take my hand.
肘が境界の奥深くまではいる
おまえの愛をみせてくれ、おれたちは同じ穴の狢
肩が境界の奥深くまではいる
リラックスしろよ。反対向きになって俺の手を握れ。

彼は決意する。再び感動を取り戻すまで、掘り続けると。(ちなみにdigには山ほど意味があるので、好きな訳を当てはめてください)そして、指の付根まで侵入していた状態が、肘、そしてついに肩に至る。

ここまで読んで、何を歌っているか分かったあなたは耳年増です。そして、実際に体験したことのあるあなたは破天荒です。なんのことだかさっぱり分からないあなたは真面目です。これ以上読み進めることを勧めない対象は未成年です。

これはフィストファックの歌なんです。(フィストファックが分からない人はxvideosへ行こう)曲のタイトルも「臭い拳」だしね。それにしても見事としか言いようのない表現力。初めて聴いたときは感動したね。ここまで感動的に歌い上げられると、アブノーマルな性行為が神秘的にすら思えてくる。はじめは指で、それが根元まで入って、肘、肩と。肩なんて入るのかよ?
Tool (1990- )
ツールは音楽性も含めてオルタナの変態バンドとして名高いですが、特に話題になるのはそのPV。ギタリストのアダムが制作するPVのためのサントラといわれるくらい、独特で奇妙な映像世界を展開しています。好きか嫌いかで言ったら、好きではないんだけど、はまる人ははまる気がする。




1999年版
2003年版


ライブと上記のPV収録のDVD

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