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Jeff Buckley (1966-1997) |
I heard there was a secret chord
that David played and it pleased the Lord
But you don't really care for music do you
Well it goes like this:
The forth, the fifth, the minor fall and the major lift
The baffled king composing Hallelujah
Hallelujah Hallelujah Hallelujah Hallelujah
ぼくはきいたことがある
ダビデが主を喜ばせた秘密の和音があると
でもあなたはほんとうは音楽を好んではいないんだろ?
そう、それはこんな風に進んでいく
第四音、第五音、短調が終わり長調が現れる
ハレルヤを紡ぐ困惑した王
ハレルヤ ハレルヤ ハレルヤ ハレルヤ
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レンブラント 作 「サウル王の前で竪琴を弾くダビデ」 |
「ハレルヤ」という語自体がダビデが記した「詩篇」のなかで初出した語であり、ヘブライ語で「神を賛美せよ」を意味する。この詩全体が「詩篇」を模した構成になっていることもすぐに気づくだろう。
挿入句的な次の行において、"you"は、動詞が現在形であることを考えると、ダビデではありえない。つまり"you"は「主(しゅ)」、つまり神だろうと推測される。ここからは歌い手の個人的かつ、いささか不遜な態度が読み取れる。
そして次の行ではまたダビデの楽曲の話題に戻る。"the forth" "the fifth" "the minor" "the major" はすべて音楽用語であり、それぞれ「(音階における)第四音」「第五音」「短調」「長調」を意味している。短調とはマイナースケールと呼ばれ一般に暗い調子を持つ音階であり、長調とはメジャースケールであり、その反対に明るい調子を持つ音階だ。
最後の行の「困惑した」の具体的内容は次のヴァースで語られることになる。ここではあえて完全な文にせず、動名詞を用いながら時制を打ち消して、臨場感を感じさせている点にも注目してほしい。
Well your faith was strong but you needed proof
You saw her bathing on the roof
Her beauty and the moonlight overthrew you
And she tied you to her kitchen chair
She broke your throne and she cut your hair
And from your lips she drew the Hallelujah
Hallelujah Hallelujah Hallelujah Hallelujah
あなたの信仰は厚いけれどそれを示さなければいけなかった
あなたは彼女が屋上で水浴びをしているのを見つけた
彼女の美しさが月光とともにあなたの心を掻き乱した
そして彼女はあなたを椅子にしばりつけ
あなたの王権を打ち砕き、髪を切り落とした
そしてあなたの唇からハレルヤを紡ぎださせた
ハレルヤ ハレルヤ ハレルヤ ハレルヤ
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ウィレム・ドロステ作 「ダビデからの手紙を受け取るバト・シェバ」 |
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ギュスターヴ・ドレ 作 「ダゴンの神殿でのサムソン」 |
Baby, I've been here before
I've seen this room and I've walked this floor
You know, I used to live alone before I knew you
And I've seen your flag on the marble arch
And love is not a victory march
It's a cold and it's a broken Hallelujah
Hallelujah Hallelujah Hallelujah Hallelujah
ベイビー、ぼくは以前ここにいたんだ
この部屋を見たことがあるし、この床を歩いたこともある
知っているだろう、ぼくはきみと知り合う前は一人で生きていたんだ
そしてぼくはマーブルアーチの上のきみの旗を見た
愛は凱旋パレードじゃないんだ
これは冷たく、壊れたハレルヤなんだ
ハレルヤ ハレルヤ ハレルヤ ハレルヤ
これまでのヴァースが歴史上のストーリーを語ったものだったのに対して、ここからは歌い手自身のストーリーが展開されていく。歌い手のいる「ここ」には、以前にもいたことがある「ここ」であり、それ以降の文から歌い手は現在恋人と離れ孤独な状態にあることがわかる。
4行目のマーブルアーチとはロンドンのハイドパークにある凱旋門のことだが、女性器を指す古いスラングでもある。"flag"には旗という意味のほかに、「ブラシなのどの毛先」という意味もあるので、この文は性的な暗喩であると解釈される。そして愛とは凱旋パレードのように「華々しい」ものではなく、「冷たく」「壊れた」ハレルヤだと語られる。
Well there was a time when you let me know
What's really going on below
But now you never show you that to me do you
But remember when I moved in you
And holy dove was moving too
And every breath we drew was hallelujah
Hallelujah Hallelujah Hallelujah Hallelujah
昔ぼくに教えてくれたことがあったね
一体何が起きているのかを
でも今ではぼくに何も見せてくれないんだね
でも思い出して欲しい、ぼくがきみと同居しはじめた頃を
聖霊が消えてしまった時を
ぼくらの呼吸ひとつひとつがハレルヤだった時を
ハレルヤ ハレルヤ ハレルヤ ハレルヤ
ここで歌詞は、"you"に「恋人」と「主」の二重の意味がかかる状態になる。かつて何でも話してくれた恋人が、今では疎遠になってしまい、以前のことを思い出して欲しいと捉えることも可能であり、一方で神から見放され、聖霊が消えてしまい、預言の下されなくなった王の姿を描き出していると解釈することもできる。
Maby there's a god above
But all I've ever learn from love
was how to shoot somebody who outdrew you
And it's not a cry that you hear at night
It's not somebody who's seen the light
It's a cold and it's a broken hallelujah
Hallelujah Hallelujah Hallelujah Hallelujah
恐らく神はぼくらの上にいるのだろう
でもぼくが愛から学んだことは
きみより早く拳銃を抜くやつを撃つことだけ
そしてきみは夜に叫び声を聴いたりはしない
それは光を見た人間ではない
それは冷たく、壊れたハレルヤなんだ
はじめの行にある「神」"a god"が"the god"でないということが、第一ヴァースの"you don't really care~"における醒めた視線と共通している。「神は愛なり」の言葉からわかるようにキリスト教における神は愛と同義語である。しかし「ぼく」が愛から学んだことは「きみ」を守るために、敵を撃つことだった。そして「ぼく」は「光をみる」=「希望を見出」してはいない。なぜなら「きみ」が耳にするのは冷たく、壊れたハレルヤなのだから。
(2014/07/03)Youtubeリンクを変更。訳修正。
(2014/07/03)Youtubeリンクを変更。訳修正。
(2014/07/21)Amazonでグレースを検索するとやたら一杯でてくるので、まとめたよ。
おすすめのレガシーエディション。
CD2枚組かつDVD付。
しかし、廃盤なのかAmazonには在庫なし。
1枚目はリマスター版、
2枚目は未発表曲とかライブとか。
3枚目は4曲分のPVとレコーディング、ライブ、インタビュー風景。
曲目は下記のリスト。
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レガシーエディションの輸入版。 対訳がなくてもokな人用。 こちらも廃盤なのかAmazonは在庫もってないみたい。 業者からは可能。 単に対訳の有無だけでなく、 ディスク2 のストロベリーストリートがなかったり、 DVDのレコーディング風景がなかったりする。 |
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デラックス版。輸入版。 レガシーエディションからDVDを抜いたもの。 こいつは曲目がのってないのだけれど、 おそらくレガシー輸入版と同じ。 |
そしてこいつが国内正規版。 ただしリマスター版ではない。 |
輸入版の旧盤。 リマスター版にあらず。 上記の対訳抜きバージョン |
輸入版の新盤。リマスター版。 1曲(Forget Her)追加されてる。 この曲はレガシーだと2枚目の先頭に入ってる。 |
謎の2010年度輸入版。 オリジナルは1994年、リマスターは2004年。 果たして何が違うのか…… |
GraceとMystery White Boyの2枚がセットになったもの。輸入版。 コメントにリマスター版じゃないかもとあるけど、 時期的にはリマスター版だと思うよ。 でも"Forget Her"はないみたい。 ハレルヤは2種類聴けるよ。 MWBの曲目は下参照。 |
グレースとグレースEPsのセット。国内版。 これも"Forget Her"がないけど、 時期的にリマスター版じゃないかなあ。 こちらはライブ版も含めてハレルヤは3種類も聴けます。 |
あと、詳細不明の業者の出品とかアナログレコードとかは省いたよ。
付加価値をつけて再販するのがレコード会社側の戦略なんだろうけど、分かりにくすぎ。
彼の死後なおも出来るだけリスナーから金を絞ろうとする、レコード会社の姿勢は嫌いです。Amazon側ももっと見やすくまとめろよ……